バスケットボール統計学

 先日、WOWOWにて「マネーボール」という映画を放送していたんで録画しておいた。昨夜、少しだけ見てみたがやっぱり面白い。というのも、ぼくはこの映画の原作本を読んだことがあって、その当時はバスケを統計学的に面白くできないか、と毎日考えていた記憶がある。以下の文は2008年4月25日に以前のブログで書いたもので、なかなか興味深いことを書いているので再度掲載してみる。当時のオレは熱かったんだなあ(笑)。

 最近読んでいる本に「マネーボール(マイケル・ルイス著)」という本があって、これを読んでいくと「セイバー・メトリクス」という言葉がでてくる。セイバーメトリクスとは、野球をプロの目による主観的解析ではなく、データに基づいて客観的に分析する学問のことらしい。野球統計学とでもいうべきだろうか。

 考案した人はビル・ジェームズという人で、夜勤の暇つぶしに自分の趣味である野球データの分析をしていて、1977年に『野球抄1977-知られざる18種類のデータ情報』という68ページの小冊子を自費出版したのがその始まり。ビル・ジェームズは現在レッドソックス顧問として「頭脳役」を務めているというから驚いた。そして毎年、「ビル・ジェームズ・ハンドブック」を出版、セイバーメトリクスの視点から各選手の成績をまとめている――とのことだ。ちなみにビル・ジェームズは本格的に野球をやったことがない。

 バスケにもおいても、プレイしたことがない未経験者にわかりやすくバスケを紹介できるようなデータを作成できないものか、と昨日突如思い、いろいろ考えてみたけど良い案は思い浮かばなかった。というか、まだ1日しか考えてないけど(笑)。そもそも、バスケに限らずスポーツは選手個々の成績やチームの勝敗などの成績がある程度公表されるので、それを見れば「どのチームが強い」だとか「どの選手が凄い」などがわかってしまう。統計学的にさらに吟味する必要はないかもしれない。
 
 例えば、バスケにおいてオフェンスの面で優れた選手を探すには得点ランキングとアシストランキング、フリースローランキング、3ポイントランキングを見ればよいだろうし、ディフェンス面ではスティールランキングやブロックランキング、リバウンドランキングなどを見れば知ることができるだろう。

 スポーツには数字に表れない“ファインプレー”がつきもので、野球におけるセイバー・メトリクスがそこらへんをどう評価しているのかはまだ調べていないが、数字に表れないプレーをどう数値化するのか、が問題になってくる。NBAのサンアントニオ・スパーズに所属するブルース・ボウエンという選手はNBAでも屈指のディフェンスのスペシャリストと言われているけど、先程書いたスティールやブロックショットにおいてはレギュラーシーズンのランキングを見るとベスト30にも入っていない。

 しかし、ボウエンは相手チームのエースの得点を封じたりと“ディフェンスのスペシャリスト”として実際に活躍しているから、こういった数字には表れない部分がどうしてもでてくる。この場合、ボウエンを正しく評価するには、ボウエンが相手選手(特にエース級の)に何分マッチアップし、何点に抑えたかを記録しておかなければならない。実際に試合を見た人は見たことによって記憶されるが、ボウエンという選手を見たことがない人に彼の魅力を伝えるためには数値化するとより具体的に伝えることができるだろう。

 ちょっとここで野球のセイバー・メトリクスの分析例を見てみよう。Numberのホームページに李啓充さんのMLBのコラムで面白いものがあったので、それを参考にしながら書いてみたいと思う。ビル・ジェームズが考案した「ゲーム・スコア」法というものがあって、先発投手がある試合でいい投球をしたかどうかを、以下の計算に基づいて判定される。

1)まず、基礎点50からスタートする。
2)アウトを1つ取る毎に、1点を追加。
3)5回以降、1イニングを投げ終える度に2点を追加。
4)三振を取る度に1点を追加。
5)ヒット1本打たれる度に2点を減点。
6)自責点1当たり4点を減点。
7)失点(非自責点)1当たり2点を減点。
8)四球を与える度に1点を減点。

 ぼくはまだ詳しい見方は理解していないが、おそらく点数が多いほど良い投球内容だったということだろう。考案者のジェームズは「タフ・ロス(惜しい負け=運が悪い負け)」と「チープ・ウィン(安っぽい勝ち=運がいい勝ち)」とするカテゴリーを設けている。「タフ・ロス」は「ゲーム・スコアが50を超えたのに、負け投手となった場合」と定義し、「チープ・ウィン」は「ゲーム・スコアが50未満なのに勝ち投手になった試合」と定義されている。こういう「タフ・ロス」や「チープ・ウィン」といった楽しみ方は統計学的分析の醍醐味ではないかと思う。

 バスケにおける花形である「得点すること」について自分なりに少し考察してみる。例えば、ある試合でチームが100点取って勝ったとする。Aという選手は40得点を取り、Bという選手は20得点だった。一見、Aの40得点を「勝利の立役者」と評価しがちであると思う。しかし、詳しくスタッツを見てみるとAのFG%は20/60(全部2点シュートと仮定)の約33%、Bは10/10で100%であった。さて、どっちが本当に勝利に貢献し活躍したと言えるのだろう。

 この場合、おそらくAという選手はチームの大黒柱でオフェンスのキーマンだったと考えられる。Bはセカンドオプションかサードオプションぐらいだろう。なので、チームとしてはAが60本もシュートを打つのは想定内だろうし、例えこの選手がシュートを外しまくって試合に負けても責める人は少ないかもしれない。BはAの40得点の前に霞んでしまい「この試合のシュート確率がパーフェクトだった」ということを正しく評価されないかもしれない、と思う。もしこの試合、Bが60本シュートを打っていたら何点取れていたのか気になるところである。

 ひとりの選手が1試合でチームの全得点を叩きだした(実際には有り得ないが)としても、チームが負けたらその選手が本当に活躍したのかは微妙だろう。もちろん個人的な評価は高いと思うが。あと、チームが1試合で80本シュートを打ったとして、そのうちひとりで60本シュートを打って20本しか入らずに負けてしまった場合とか。

 バスケはケミストリー(調和)が重要視されるだけに、選手ひとりひとりの数字やチームスタッツを数値化して分析するのは難しいのかもしれない。チームが連動してオフェンスしディフェンスするので目に見えないところの評価が数値化し難い部分がある。野球は極端に言うなら投手と打者の対決だと言えるので分析しやすいのかもしれない。

 今後もバスケについて、統計学的に分析し評価できないか考えていきたいと思う。こんなアホな考えに賛同してくれる人がいるとうれしいし、アドバイスをいただけると非常にありがたいのだが・・・。


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